そもそも論になってしまいますが、アンバランス接続はグラウンドに−(マイナス)電流が流れますのでシステム電位の安定という面では足枷になります。とはいえ一般的なオーディオ環境はアンバランスが主流ですのでアースが絡むと混乱の元になっているのが現状かと思います。
下記は筐体(シャーシ)アースをとった場合の対処法です。
TSフォン、RCAケーブルの場合
ケーブルが2芯以上の場合、シールドを片側で解放します。
1芯の場合は2芯以上のものに交換し、上記と同様にする。
同軸ケーブルの場合
マスタークロックジェネレータをAD/DAに入れている方はコンバータのDSPの有無で対応が変わります。
DSP非搭載またはバイパスする場合は両機器ともにアナログ電源にし、グラウンドループを切る為に両端にフェライトコアを入れます。装着位置によって効き方が変わるのでカットアンドトライが必要になります。大体プラグの根元から3cmでピッタリ決まることが多いと感じます。
DSPを使用、またはバイパスできない場合はコンセントを分け、コンバータはデジタル電源、クロックはアナログ電源にし、フィルタは入れないでおきます。同一コンセントを使用する場合は上記と同様、フェライトコアを使用します。
基本的にクロックはAES/EBUで送れるならバランス接続できるので対処の必要が無く、そちらの方が良いと思います。
同軸デジタル(コアキシャル)の場合も同様にフェライトコアを入れてみてください。光デジタル(オプティカル)で代用できる場合はそちらでも良いかと思います。
アース的観点からすると光はアースが切れており、同軸はアースが繋がっています。接続機器が互いに筐体アースされている場合、同軸はグラウンドループの原因になり、光を用いることでループを切れます。逆に筐体がアースされていない場合に光を用いると機器間の電位が一致せず、同軸を用いて電位を一致させた方が良いという考え方が成り立つでしょう。
LANケーブルの場合
LANケーブルは平衡接続(差動伝送)ですがカテゴリ6(UTP=シールドなし)まではGND端子が存在しないので信号線での電位の一致はないというのが注意点です。
オーディオではネットワークオーディオやDante®︎で使われることが多いと思いますが、オス/メス共にコネクタが金属製でない場合にカテゴリ7以上(STP=シールドあり)のケーブルを使用するとシールドがシャーシアースから浮いてしまってノイズになります(カテゴリ6AにはSTP・UTPが両方存在するようです)。
Danteは音響現場での使用がメインだと思いますが両機器が接地(シャーシアース)されている場合、あえてUTPを使うことでグラウンドループを切る効果が得られると思います。